不動産コラム

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2025-09-29

住宅購入は人生の中でも大きな買い物の1つです。そのため多くの方が「住宅ローンは複雑で難しそう」と不安を抱えがちです。実際には住宅ローン金利の種類や借入先、審査や契約など、いくつものステップを踏む必要があり、初めての人にとっては分かりにくい部分も少なくありません。

当記事では、初心者の方でも安心して進められるよう、金利の選び方から審査、融資実行まで、住宅ローンの組み方をステップごとに分かりやすく解説します。これから家を購入したいと考えている方や、住宅ローンの仕組みを基礎から理解したい方はぜひ参考にしてください。

 

1. 【初心者向け】住宅ローンの組み方をステップ別に解説!

住宅ローンは大きな買い物だからこそ、流れを理解しておくことが大切です。ここからは、初心者の方にも分かりやすいように、住宅ローンの組み方をステップごとに紹介します。順番に確認すれば、安心して進められるでしょう。

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1-1. ステップ1:住宅ローンの金利タイプを決める

住宅ローンを組む際、最初に考えるべきは「金利タイプ」です。金利には大きく3つの種類があり、以下のようにそれぞれ特徴が異なります。

  • 全期間固定金利
    返済額が借入中ずっと変わらない安心感がありますが、金利はやや高めになるリスクがあります。
  • 変動金利
    金利が低く返済を始めやすいものの、市場金利の上昇によって返済額が増えるリスクがあります。
  • 当初固定金利
    一定期間は返済額が固定されて安心できますが、その後は金利が上がる可能性があります。

金融機関によって扱う金利タイプや条件は異なるため、まずは自分に合ったプランを決めてから比較するのがおすすめです。

 

1-2. ステップ2:借入先を選ぶ

住宅ローンを組む際、金利タイプを決めたら次は「借入先」を選びましょう。借入先は主に以下の3つに分かれます。

  • 民間融資
    銀行や信用金庫、住宅ローン専門会社などが提供する住宅ローンです。種類が豊富で優遇金利といったサービスも充実しています。
  • 公的融資
    公的機関による住宅ローンです。自治体や財形住宅融資など制度ごとに条件・金利が大きく異なるため、利用可否や金利タイプは最新の募集要項で確認しましょう。
  • フラット35(協調融資)
    民間ローンと公的ローンの中間に当たり、全期間固定金利が特徴です。申込窓口は民間金融機関、債権は機構が買取る買取型が一般的です。

借入先選びでは「金利の低さ」だけでなく、相談体制や手続き方法など、自分のライフスタイルに合うかを基準にすることが大切です。

 

1-3. ステップ3:申し込みをして事前審査を受ける

住宅ローンを検討して借入先を決めたら、次のステップは「申し込み」と「事前審査」です。

まずは希望する金融機関に申し込みを行いましょう。住宅ローンの申し込みでは、下記のような書類を揃えた上で提出します。

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書など)
  • 現在のローン関連資料
  • 購入予定の不動産情報(販売図面、物件概要書、価格表など)

事前審査では、下記の3つが重視されます。

  • 返済負担率(返済比率)
    年収に対して返済額が適切な範囲に収まっているか。
  • 申込者の属性
    年齢、職業、勤務先、家族構成などの状況。
  • 既存のローン状況
    カードローンやクレジット利用など、信用情報に問題がないか。

結果は通常1週間程度で通知されます。事前審査を通過しなければ本審査には進めないため、この段階でしっかり準備しておくことが重要です。

 

1-4. ステップ4:本審査を受ける

事前審査を通過したら、次は「本審査」です。本審査では購入予定の不動産の価値や担保力が審査対象となり、より厳密なチェックが行われます。事前審査が「申込者本人」を見るのに対し、本審査は「不動産そのもの」を評価する審査です。

必要書類は銀行から案内されるため、指示に従って準備すれば大丈夫です。審査期間は通常10日~2週間ほどですが、場合によっては1か月以上かかることもあります。また、この段階で団体信用保険(団信)の審査も行われ、健康状態の申告が必要です。

事前審査に通っても、本審査で落ちることがあります。そのため多くの契約には「ローン特約」があり、本審査に通らなければ契約を解除できます。

 

1-5. ステップ5:契約を結ぶ

本審査に通過したら、銀行で住宅ローンの「金銭消費貸借契約」を結びます。金銭消費貸借契約は金融機関からお金を借りるための契約で、融資実行日を売主・買主・金融機関で調整して行います。手続きは平日の銀行窓口で行われ、実印と金融機関の届出印が必要です。

 

1-6. ステップ6:融資を受ける

本審査や契約を終えると、いよいよ融資の実行です。購入資金が口座に振り込まれ、その日のうちに住宅代金の支払いと諸経費の清算が行われます。同時に司法書士が法務局で所有権移転登記と抵当権設定登記の手続きを行います。

住宅ローンの金利は契約時点ではなく、原則として融資実行(決済)時点の金利が適用されます。一部の住宅ローン商品では申込時の金利が適用される場合や、金融機関によっては申込時と実行時から選べる場合もあるため、事前に確認が必要です。

 

2. 共働き家庭で家を買うときの住宅ローンの組み方

住宅ローンは夫婦共働きの場合、組み方によって返済計画や借入額に大きな差が出ます。ここからは、夫婦で住宅ローンを組む3つの方法を紹介します。

  • 夫婦のどちらか一方が借りる方法
    片方が単独でローン契約を結ぶパターンです。借入額は少なめですが、もう一方の収入を生活費や貯金に回せるため、世帯全体として余裕を持ちやすいのが特徴です。
  • 夫婦それぞれがローンを組む方法(ペアローン)
    2人で別々にローンを契約する方法です。借入可能額を増やせるほか、住宅ローン控除も双方が受けられるメリットがあります。ただし、事務手数料や印紙代など諸費用は2倍かかる点に注意が必要です。
  • 夫婦の収入を合算して借りる方法(収入合算)
    1本のローンに夫婦の収入を合算して申し込みます。ただし合算者は連帯保証人となり、どちらかが返済不能や死亡した際は残債を負担するリスクがあり、団体信用生命保険への加入が重要です。

単独ローンは無理のない範囲で返済したい堅実志向の人に向いています。ペアローンは夫婦それぞれに安定した収入があり、返済負担を分け合いながら希望の物件を購入したい人におすすめです。収入合算は、1人では希望額に届かないときに借入額を増やしたい場合に有効で、より広い選択肢を持ちたい人に向いています。

 

3. 初心者が住宅ローンを比較・検討するときのポイント

住宅ローンを選ぶ際には、単に金利の低さだけで判断するのではなく、総合的に比較・検討することが大切です。ここからは、初心者が確認しておくべき住宅ローン選びのポイントを紹介します。

  • 不安な点は専門家に相談する
    初めて住宅ローンを組む際は分からないことも多いものです。ファイナンシャルプランナー(FP)や住宅ローンアドバイザーは、最新情報や数多くの事例をもとに中立的な立場でアドバイスしてくれるため安心です。
  • 返済期間や月々の支払いを試算する
    金融機関のサイトにある住宅ローンシミュレーションツールを活用し、借入額や金利、返済期間を入力して無理のない返済計画を立てましょう。教育費や老後資金など将来の支出も考慮するのがポイントです。
  • 付帯サービスや特典を事前に確認する
    住宅購入にかかる諸費用を融資してくれる「つなぎ融資」や、繰上返済のしやすさ、金利の優遇、ローン利用者だけの特典などは金融機関ごとに違います。

住宅ローンの比較では、金利だけでなく返済方法や特典、サービス内容まで確認することが大切です。上記を参考に、自分のライフスタイルに合ったローンを選びましょう。

 

まとめ

住宅ローンは金利タイプの選択から借入先探し、事前審査・本審査、契約、融資実行といった流れで進んでいきます。一見すると複雑に思えますが、順を追って理解していけば難しくありません。特に初心者の方は、不安な点を専門家に相談しながら進めることで、安心して住宅ローン手続きを進められるでしょう。

また、共働き世帯の場合はローンの組み方によって返済計画や借入額に大きな差が出るため、自分たちに合った方法を選ぶことが重要です。大切なのは「無理のない返済計画」を立てることです。住宅ローンは長期にわたる契約であるため、焦らず丁寧に比較・検討し、自分に合ったローンを見つけましょう。


2025-09-29

「マイホームを買うにはいくら必要なのだろう?」と疑問に思う方は多いでしょう。マイホーム購入には物件価格だけでなく、頭金や諸費用、購入後の維持費など、幅広い支出が伴います。そのため、資金計画を誤ると生活に余裕がなくなる恐れがあります。

当記事では、マイホームの購入資金の内訳や貯金額の目安、貯金がない場合のローン活用法、購入後に残すべき資金、効率的な貯め方のコツを解説します。無理のない資金計画を立て、購入後も安心して暮らせるマイホームへの道筋を描きましょう。

 

1. マイホームの購入にかかる主な費用

マイホームを購入する際には、物件価格だけでなく、頭金や諸費用、購入後の維持費も考慮する必要があります。ここでは、購入前に把握すべき主な費用の内訳を解説します。

 

1-1. 物件価格・頭金

住宅購入時は頭金として物件価格の10~20%を現金で支払い、残額を住宅ローンでまかなうのが一般的です。たとえば、3,000万円の新築住宅であれば、300万~600万円を頭金に充て、残りを借り入れるイメージです。

住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、注文住宅では平均729.0万円(18.5%)、マンションでは1,337.9万円(23.9%)が頭金として支払われています。住宅の種類によって負担割合は多少上下するものの、物件価格の10~20%を頭金として支払うケースが多いことが分かります。

融資区分頭金(手持金)
※()は購入額を100とした場合の割合
注文住宅729.0万円(18.5%)
土地付き注文住宅460.7万円(9.7%)
建売住宅322.8万円(8.4%)
マンション1,337.9万円(23.9%)
中古一戸建て232.5万円(9.0%)
中古マンション524.4万円(17.3%)

出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」

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1-2. 諸費用

マイホームを購入する際には、物件価格とは別に諸費用が必要です。諸費用は購入する住宅の種類によって異なり、一戸建てであれば物件価格の6~10%程度、新築マンションであれば約3~5%が目安とされています。たとえば、3,000万円の新築マンションなら約90万~150万円、一戸建てなら約180万~300万円の諸費用がかかる計算です。

諸費用には契約時にかかる印紙税や不動産会社への仲介手数料、登記関連費用などが含まれ、原則として現金での支払いとなります。以下では、項目ごとの目安金額をまとめています。

費用項目概要と目安金額
印紙税売買契約書に貼付する印紙代。物件価格が1,000万~5,000万円以下なら2万円程度。
仲介手数料不動産会社に支払う成功報酬。不動産の売買額が400万円を超えた場合は物件価格×3%+6万円+消費税。
修繕積立基金(新築マンション)将来の大規模修繕に備えた積立金。初回費用として約20万~40万円がかかる。
登録免許税所有権やローンの登記時にかかる国税。内容により評価額の0.1~2%程度。
司法書士報酬登記手続きを依頼する専門家への謝礼。相場は約1万~13万円とされる。
不動産取得税不動産購入時にかかる地方税。原則は固定資産税評価額の3%だが、住宅用物件には軽減措置が適用されることもあり。
税金の清算金(固定資産税・都市計画税)購入時に、売主と買主で年間の税金を日割り精算。標準税率は1.4%。

 

1-3. 物件購入後の維持費

マイホームを購入した後は、物件価格や諸費用とは別に、継続的に維持費がかかります。一戸建ての場合、固定資産税や保険料、町内会費を含めると、維持費は毎月4~5万円程度かかると言われています。将来的に外壁や屋根の補修、バリアフリー工事などを行うのであれば、その工事費も必要です。

マンションの場合は、管理費や修繕積立金が毎月発生します。当初は数千円でも年数を重ねるごとに値上がりし、20年後には月2万円以上になるケースもあります。加えて、固定資産税や駐車場代、専有部分のリフォーム費用なども必要です。

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2. マイホームを購入する際に必要な貯金額の目安

マイホームを買うのに必要な貯金額の目安は、一般的に購入価格の10~30%と言われています。この金額には頭金や諸費用などが含まれ、物件の種類や住宅ローンの組み方によっても変動します。たとえば、3,000万円の住宅なら300万~900万円が目安となります。

貯金を少なくして住宅ローンを多めに借りることも可能ですが、その分毎月の返済負担が重くなる点には注意が必要です。一方で、貯金を大きく充てすぎると手元資金が不足し、急な出費や将来的な生活費に影響するリスクもあります。そのため、住宅購入計画を立てる際は、収入やライフプランを踏まえた無理のない資金配分が重要です。

必要な金額感をつかむために、以下で具体的な貯金額の目安を確認しましょう。

物件価格10%(最低目安)20%(中間目安)30%(ゆとり目安)
1,000万円100万円200万円300万円
1,500万円150万円300万円450万円
2,000万円200万円400万円600万円
2,500万円250万円500万円750万円
3,000万円300万円600万円900万円
3,500万円350万円700万円1,050万円
4,000万円400万円800万円1,200万円
4,500万円450万円900万円1,350万円
5,000万円500万円1,000万円1,500万円

 

2-1. 貯金がない場合でもフルローンやオーバーローンを利用できる

貯金が十分にない場合、マイホームを購入する方法として「フルローン」や「オーバーローン」があります。

フルローンとは、住宅購入費を全額借り入れる方法で、頭金を用意できなくても住宅購入が可能になる点がメリットです。たとえば、3,000万円の一戸建てを買う場合、3,000万円をローンで借り入れる形になります。ただし、借入額が大きくなる分、審査が厳しくなり、返済期間や利息負担が増える可能性がある点には注意が必要です。

一方のオーバーローンは、購入費用に加えて諸経費分も含めて借り入れる方法です。諸費用もカバーできるため自己資金ゼロで購入できますが、借入額がさらに高額になるため審査がより厳格になり、金利も高めに設定されやすい傾向にあります。また、売却時に残債が多く残るリスクも伴うため、将来のライフプランを踏まえて慎重に検討しましょう。

 

3. マイホームを買った後に残したい貯金はいくら?

マイホーム購入にあたっては、貯金をすべて頭金や諸費用に充てるのは避けるべきです。購入後も安心して暮らすためには、最低でも3か月分の生活費を残すことが推奨されます。たとえば、月収30万円の家庭なら90万~120万円程度が目安です。

さらに安定性を高めたいときは、6か月分の生活費を確保できれば、病気や転職など収入の変動にも冷静に対応できます。購入後の生活を圧迫しないためにも、一定の余裕資金を確保することが大切です。

 

4. マイホーム貯金を貯めるためのコツ

マイホームでは大きな貯蓄額が必要になるため、計画的に取り組まなければ、なかなか目標には届きません。ここでは、効率よくマイホーム資金を貯める方法を紹介します。

  • 支出を減らすために固定費を見直す
    毎月必ず発生する固定費を削減することで、大きな節約効果が得られます。家賃や保険料、スマートフォンの通信料金、サブスクリプション代などを洗い出し、不要な契約の解約やより安いプランへの切り替えを検討しましょう。
  • 別の口座に分けて貯金する
    マイホーム用の資金は、教育費や老後資金と混在させず、専用の口座に分けて管理するのがおすすめです。目的を明確に分けることで、「いくら貯まったのか」が把握しやすくなり、他の用途に流用してしまうリスクも減らせます
  • 定期預金を活用する
    自動的に貯金できる仕組みを作るのも効果的です。会社によっては給与天引きの「財形貯蓄制度」が利用でき、特に「財形住宅貯蓄」は一定額まで利子が非課税です。制度が利用できない場合でも、銀行の定期預金や積立預金を利用すれば、無理なく安定的に貯金を続けられるでしょう。

 

まとめ

マイホームを購入するときは、物件価格だけでなく頭金や諸費用、購入後の維持費まで含めて総合的に資金を考える必要があります。一般的に必要な貯金額は、物件価格の10~30%が目安です。フルローンやオーバーローンを利用すれば貯金が少なくても購入は可能ですが、借入額が増える分、住宅ローン返済の負担やリスクも大きくなるため注意が必要です。

また、最低3か月分、できれば半年分の生活費を残すことで、マイホーム購入後の突然の収入減や出費にも備えられます。そのためには、固定費の見直しや貯金口座の分離、定期預金の活用など、日々の生活から効率的にマイホーム資金を貯める工夫が求められます。無理のない資金計画を立てることで、購入後も生活にゆとりを持ちながら理想の住まいを実現できるでしょう。


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